ある会社の自己破産ストーリー 第4章(初回相談4)

A社長「破産管財人というのはどういう人でどういう役割なんですか?」

タキオン「破産管財人というのは、破産会社と個人の資産の管理権限を任される、裁判所から選任される弁護士です。例えば会社やA社長に不動産などがあれば、それを処分換価して、つまり売って現金に換えて、従業員の未払い賃金や滞納税への弁済に充てたり、債権者に配当をしたりする役割です。
手続きに戻りますが、破産申立をして、その1週間後以内に裁判所から破産手続開始決定が出されて、破産管財人が選任されます。破産申立から1~2週間以内に破産管財人との面接があります。」

A社長「それは私も行くのですか?」

タキオン「はい、それはA社長とタキオン法律事務所の弁護士、そして破産管財人が集まります。場所は破産管財人の事務所であったり、東京地裁の横にある弁護士会館だったりします。」

A社長「時間はどれくらいかかりますか?」

タキオン「早ければ30分くらいで、長い場合は2時間ほどかかります。今回は会社とA社長に資産がほとんどなく、事務所の明け渡しも従業員の方々の解雇も済んでますから、30分くらいで終わると思います。」

A社長「その…、破産管財人の弁護士さんに怒られたりしますか?」

タキオン「それもみなさんからよく聞かれるんですけど、私が過去100件以上扱ってきた破産案件で、破産管財人が破産者を怒るという経験は一切ありません。破産管財人は、破産管財人という仕事だけをしている弁護士ではなくて、逆に今回の私のように破産申立代理人側も何度も経験していますので、むしろ破産者の事情をよく分かっていて、優しかったり、淡々としていたり、とにかく怒るとか叱るということはまったくありませんので安心してください。」

A社長「ほっとしました。」

タキオン「あ、ただ、一度だけ破産管財人を怒らせた方がいます。」

A社長「え?」

タキオン「遅刻です。遅刻というか、来なかったんです。面接時間に私の携帯に電話をかけてきて、『今渋滞に巻き込まれてます…あと1時間ほどかかりそうです…』と。だからその日は面接はなしになって私はとぼとぼ帰りました…。事前に『絶対に車では来ないでください。車で来る場合は1時間早く着いて近くの喫茶店でお茶をするなどしてください』と、ちょっといい加減な方だったので注意しておいたんですが…。あれは困りましたね(苦笑)」

A社長「分かりました。私は電車ですし、時間は絶対に厳守します。」

タキオン「はい、時間厳守だけはお願いします。それで、破産管財人面接の次ですが、その2~3ヶ月後に債権者集会というのが東京地裁で行われます。それにもA社長の出席が必要です。つまり、A社長の出席が必要なのは破産管財人面接と債権者集会の2回だけです。」

A社長「債権者集会には債権者も来るのですか?」

タキオン「債権者集会には、裁判官・破産管財人・A社長・タキオン法律事務所の弁護士・債権者が出席します。ただ、債権者といっても、銀行や信金などの金融機関はまず来ません。いわゆるお金のプロは来ないんです。来て意見を言ったりしても大して意味がないと知ってますから。で、取引先などですが、時々来る人もいます。例えば10社くらい取引先があれば、1社くらいは来ることがあります。ただ、破産管財人の報告や裁判官の進行を黙って聞いてるだけなのが実情です。極めて希に怒ったりする債権者もいますが、すぐに裁判官から止められます。」

A社長「テレビのニュースなどで債権者集会と言って、経営者が債権者から怒鳴られたり罵声を浴びたりして、経営者が土下座しているような映像を見ますが、あーいうのはないのですか?」

タキオン「ニュースなどの債権者集会(債権者説明会)は、この破産手続きの債権者集会とは違って、一定規模以上の大きな会社が説明のために任意に行うものです。負債額が数億円とか債権者が数百名の場合が多いです。全然別物ですのでご安心下さい。」

A社長「そうですか。安心しました。裁判官から怒られたりもしないんですか?」

タキオン「ないですね。東京地裁では大きな会議室みたいな債権者集会場というところで8つくらいの債権者集会が個別に小さなテーブルで同時に進行していますから、淡々と進みます。だいたい10分~20分で終了します。」

A社長「その債権者集会で破産手続きは終了ですか?」

タキオン「そうですね。ただ、ケースによってはそれで終わらず、3ヶ月後に第二回債権者集会が行われることもあります。会社の取引先が多数で、破産管財人が売掛金債権を回収し終わらなかった場合や、個人破産で不動産を所有しているときにその不動産がまだ売却できていないような場合です。今回のA社長の場合は1回だけで終わると思います。それで破産手続きは事実上は終了で、債権者への配当などがあったりする場合も、社長が出席する必要があるようなものはないです。」

A社長「なるほど。だいたい手続きの流れは理解できました。では明日の朝、全ての口座からお金を引き出して先生に連絡します。また、職場から税務署の督促状を先生にFAXして、さらに1週間以内に書類に記入してFAXします。」

タキオン「はい、ではこの会社と個人の破産事件委任契約書をしっかり読んでください。不明点があればご遠慮せずご質問してください。全てご納得いただけましたらサインをお願いします。」

(契約書を読むA社長)

A社長「はい、弁護士費用・実費の預託など全て分かりました。よろしくお願いします」

タキオン「はい、よろしくお願いします。時々、契約をしたら後は弁護士が全てやるものだと勘違いして書類など提出してくれなかったりする方がいるのですが、会社のことはA社長しか分かりませんのでご協力が必要となります。今後も私から質問などメールや電話でしますので必ずご協力ください。」

A社長「もちろんです。よろしくお願いします。」

タキオン「はい、よろしくお願いします。」




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2016.07.25 | | ■会社の自己破産

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