ある会社の自己破産ストーリー 第3章(初回相談3)

A社長「あのー、自己破産の申立までにしてはいけないこととかありますか?」

タキオン「はい、明日にでも介入通知を発送しますので、今後は一部の債権者だけに返済することは絶対にやめてください。全ての債権者への返済をしてはいけないことになります。一部の債権者だけに返済することは、偏頗弁済(へんぱべんさい)と言って禁止されています。」

A社長「え?だめなんですか?」

タキオン「はい、後で破産管財人から返済分を取り戻されますので、その債権者にかえって迷惑がかかりますし。」

A社長「そうですか…。困ったなぁ。実は付き合いの長い友人がやっている会社がうちの会社に来月末に支払う売掛金があるんですよ。20万円くらいなんですけど。それだけは支払いたいんですが…。絶対に支払うと約束もしていますし…。」

タキオン「残念ですが、それはいけません。ただ、破産手続きが全て終了した後は、債務はなくなりますが、A社長が任意で返すのは自由です。ですので、ご友人にはきちんと説明して、手続きが終わった後で、A社長が自分のお金から返すということにしたらいかがでしょうか?」

A社長「あ、そういうことが可能なんですか!?」

タキオン「はい。けっこういらっしゃいます。特にご親戚に借りたお金などは絶対に返したいという方がいます。でもそれは全て破産手続きが終了した後で、個人のお金で任意に返すということになります。」

A社長「そうですか、分かりました。友人にはきちんと説明します。
ところで、会社の破産後、私は知人の会社に雇ってもらうんですが、その給料などは返済というか(私個人の)債権者の配当のために取られたりするんですか?」

タキオン「最初の給料はいつですか?」

A社長「えーと、まだ確定してないんです。働き始めるのが来月下旬からか再来月下旬からか…。」

タキオン「大丈夫です。会社とA社長個人の自己破産を申し立てて、その1週間後くらいに『破産手続開始決定』というのが出るんです。今回の場合だと、再来月末の売掛金入金を引き出してすぐに破産申立をしますから、再来月末かその翌月の上旬です。その『破産手続開始決定』の時点で会社とA社長が持っている資産を換価して債権者に弁済・配当するというのが破産手続きです。それで、A社長の最初の給料が『破産手続開始決定』の後の場合は大丈夫です。そのままご自身のものになります。『破産手続開始決定』の前の場合でも、99万円以下の現金は自由財産といってご自身の手元に確保できますので全く問題ありません。」

A社長「そうですか、一安心です。」

タキオン「極端な話ですけど、『破産手続開始決定』が出た翌日に買った宝くじで1億円当選しても、そのお金はご自身のお手元に確保できます。」

A社長「はぁ、そういうもんなんですか。『破産手続開始決定』の前後で全然違うんですね。」

タキオン「はい。破産手続きは『破産手続開始決定』時点での財産を対象にしていますので、そうなります。
だいたいご事情は分かりましたし、ご説明も終わりましたが、何かご不明なことはありますか?」

A社長「うーん、そうですね…。あ、破産を申し立てた後の手続きの流れってどんな感じなんでしょうか?」

タキオン「はい。今回の場合、再来月末に入金される売掛金を待って直ちに破産申立をします。その1週間後以内に裁判所から破産手続開始決定が出されて、破産管財人が選任されます。」

A社長「破産申立には私も行くのでしょうか?」

タキオン「いえ、弁護士が代理しての自己破産申立の場合、今回は東京地裁ですのでA社長の出席は必要ありません。東京地裁で自己破産を申し立てたその日に即日面接といって、タキオン法律事務所の弁護士がすぐに裁判官と15分~30分ほど面接し、書類などを提出して、詳細な事情を説明します。」

A社長「あ、そうですか。裁判官って怖そうなイメージで…怒られるんじゃないかって思ってて…。」

タキオン「みなさんそう仰いますね。でも東京地裁では1日に大変な数の破産申立がありますので、事務的に淡々と進みますね。」



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2016.07.18 | | ■会社の自己破産

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